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酸化型のコエンザイムQ10とは

酸化型のコエンザイムQ10とは

酸化に弱いコエンザイムQ10

疲労回復効果や抗酸化作用など優れた効能を持つコエンザイムQ10は、大きく分けて酸化型と還元型があります。酸化型は「ユビキノン-10」、還元型は「ユビキノール-10」とも呼ばれています。

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酸化型とはその名の通り酸素の影響で酸化した状態です。
コエンザイムQ10はとても酸化に弱い性質があり、空気に触れると酸素の影響ですぐに黄色く変色してしまいます。
しかし、本来のコエンザイムQ10は白い色です。実際に動物の体内や微生物から取り出したばかりのコエンザイムQ10は白い色をしています。
1956年に世界で初めてミトコンドリアから取り出されたコエンザイムQ10は黄色い色をしていました。これは取り出す過程で酸化したためと考えられています。

酸化型は体内で利用することができない

私たちの体は60兆個もの細胞によって構成されています。その一つ一つの細胞にはミトコンドリアという小器官が存在し、生命維持と生命活動に不可欠なエネルギー源であるATP(アデノシン3リン酸)を作り出す重要な働きをしています。
コエンザイムQ10はミトコンドリアの働きを助ける役目を担っています。ところが体内で利用することができるのは還元型のみで、酸化型をミトコンドリアが利用することはできません。つまり存在していても役に立たないのです。

酸化型は還元型に変換された後に利用される

だからといって酸化型のコエンザイムQ10を摂っても効果が得られないわけではありません。酸化型のコエンザイムQ10は小腸で吸収される際に、還元酵素によって還元型に変換されます。
還元型に変換されたコエンザイムQ10は、リンパ液に放出された後に血流に乗ってまず肝臓に運ばれます。その後、全身に運ばれてミトコンドリアに利用されます。
ですから酸化型のコエンザイムQ10を摂っても還元型と同じようにミトコンドリアの働きを助けることができます。

酸化型のメリット

容易に生産できる

コエンザイムQ10は1966年に量産化に成功しました。しかし、2000年に還元型の製造に成功するまで、医薬品やサプリメントに配合されたコエンザイムQ10は全て酸化型でした。
これは還元型を製造するためには、酸化を防ぐ技術的なハードルが高かったためです。酸化型は酸化を気にする必要がないため、原料さえ調達できれば比較的容易に製造することができます。
コエンザイムQ10を製造する方法としては、化学合成する方法と酵母や大腸菌などの微生物で培養する方法があります。化学合成する方法は生産コストを抑えることができるため、現在では酸化型の製造に採用されています。
近年、コエンザイムQ10の製造に複数の中国企業が参入していますが、中国企業が行っているのは化学合成による酸化型の製造です。

厳重な品質管理が必要ない

還元型は完成して工場から出荷した後の品質管理にも細かな気配りが必要です。消費者の手に届くまでの流通の途中で、空気によって酸化してしまう恐れがあるからです。
このためビタミンCやビタミンEなどの酸化防止剤、品質を保つ安定剤、混入した空気を吸収して酸化を防ぐ吸収促進剤を加える必要があります。さらに空気に極力触れないための特殊な梱包や低温での流通が求められます。
一方の酸化型はこのような厳重な品質管理が必要ありません。常温で流通させることができるため、どの売場にも並べることが可能です。

安価で購入できる

比較的容易に製造することができ、厳重な品質管理を必要としない酸化型はコストを抑えることができます。そのため還元型よりも安価で販売することができます。
コエンザイムQ10をサプリメントから摂る場合、短期間摂るだけではあまり効果が期待できません。効果を実感するためには摂り続ける必要があります。
酸化型よりも還元型のほうが機能的には優れていることは確かです。しかし、還元型は製造と流通にコストがかかるため商品価格が高く設定されています。
いくら健康に良い成分でも、経済的な負担が重くのしかかるようでは続けることが困難になります。安価な酸化型であれば気軽に試すことができますし、お財布に優しいため費用負担をあまり気にすることなく摂り続けることができます。

酸化型のデメリット

即効性がない

体内で変換しなくてもすぐに利用することができる還元型と比べて、酸化型は還元酵素で変換する必要があるため即効性が期待できません。ですから「疲れが溜まっていてとにかくすぐに効果を実感したい」というような方には適していません。

全てが還元型に変換されるわけではない

酸化型であっても体内で還元型に変換されることで利用することができます。ところがここに落とし穴があります。サプリメントなどから酸化型のコエンザイムQ10を摂っても、全てが還元型に変換されるわけではないのです。
変換できなかったコエンザイムQ10は体内で利用することができずに、尿や便と一緒に体外に排出されてしまいます。さらに酸化型から還元型に変換される量は、加齢やストレス、病気などの影響で減少します。
若くて健康であれば問題ありません。しかし、中高年の方、ストレスを溜めている方、健康状態が良くない方は、還元型に変換できる量が少ないためエネルギーを効率よく作り出すことができないのです。

抗酸化作用がない

優れた抗酸化物質であるコエンザイムQ10は、体内で増えた活性酸素を取り除くことで、細胞や血管が錆つくのを防いでくれます。その抗酸化力は酸化防止剤に使われるビタミンEと同等とされています。
ところがこの抗酸化作用を持つのは還元型のみであり、酸化型を摂っても抗酸化作用を発揮することはありません。抗酸化作用を期待してコエンザイムQ10を摂る方は必ず還元型を選びましょう。

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